「A4一枚でまとめて。」を思い出した日。
私が26歳頃のことだったと思うのですが、
職場に異動してきた管理職の口癖が、「A4一枚でまとめて。」でした。
その管理職が異動してきた当初、彼のもとに決裁資料が届くたびに、
「ちょっといい?」と呼ばれ、
「この事業のこと知りたいから、A4一枚でまとめてくれる?」って言われて。
結局、チーム全員がその都度管理職に呼ばれては「A4一枚で。」と言われ、
忙しい業務の合間を縫って資料を作っていました。
「A4一枚でまとめるって難しい課題だな。」と、当時の私は思ったんです。
以前から担当していて事業内容を理解していようと、
前任から引き継いだ直後だろうとそんなことは関係なく、
何も知らないであろう異動してきた直後の管理職に、
担当者として責任を持って事業内容をA4一枚で簡潔に説明するのって、
これは難しいぞって。
たぶんね、その管理職、前任から引き継ぎを受けてるから、
事業内容はちゃんとわかっているはずなんです。
おそらく、提出された「A4一枚」を見て、
その社員の個性と能力を見抜くんだろうなと思って、ドキッとしたんだよね。
頑張って資料を作って提出したのですが、
おかげで、「私は担当者として誰よりもこの事業のことわかってるから!」っていう自覚と責任が生まれて、
結果、いい経験をしたなと思っています。
その後も、その管理職に同席して会議に出席すると、
「議事録、A4一枚でまとめといて。」と何度か言われることがあり
(一時間の会議をA4一枚ってマジか!とは思った)、
提出した議事録に赤ペンで修正を入れてくれることがあったり、
「訂正箇所ないからそのままメンバーに議事録メールしといて。」と言われたときは、
「やったぜ!!」と心の中でガッツポーズしてみたり。
その管理職に対しては、
「社員に直接指示するってどうなのよ?」とか、
「不愛想でとっつきにくいオジサンなんだよな。」とかいろいろ思うこともありましたが、
不愛想なりに若手社員とのコミュニケーションと指導の場を作ってくれてたんだなと、
今では懐かしく思い出します。
なんでこんな昔話を思い出したかというと、この本を読んだから。
今日の一冊。安達裕哉『頭のいい人が話す前に考えていること』。
当初は読むつもりはなかったのですが、
どうしても、タイトルの「頭のいい人」っていう表現が気になって仕方なくて。
「頭のいい人って簡単に定義できないよね?」ていう疑問があふれて止まらない。
その疑問を解決したくて、図書館で借りて読んでみたら、
ちゃんと「本書ではこういう人を頭のいい人とみなします」って説明してありました。
疑問解決です。
本質的な課題を認識することや、
思考回路を言語化することについて、読み進めながら自分でも考えていたら、
「A4一枚」の管理職を思い出した次第です。
ちなみに、あの当時、私の隣の席に座っていた先輩が、
「俺、どうしても1枚にまとめられなくて、1枚半で提出したよ。」
と言ってました。
「それ、一発アウトじゃん!!」と心の中で思ったのですが、
相手が先輩だったので、愛想笑いでごまかしたのも懐かしい思い出。
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